カイロで生理痛を効果的に和らげるには正しい貼る場所を覚える事が大切です。
仙骨・下腹部・三陰交などの部位を温めると血流が促進され痛みが軽減します。
この記事ではカイロで生理痛が軽減される理由、臨床試験の結果、具体的なカイロの貼り方を詳しく解説します。
カイロが生理痛に効く理由
生理痛の主な原因のひとつは、骨盤まわりの血流の悪化によるものです。
子宮が冷えると筋肉が収縮しやすくなり、プロスタグランジンという痛み物質が多く分泌されてしまいます。
カイロを使って体を温めることで、血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。
これにより子宮の収縮もやわらぎ、痛みの緩和につながると考えられています。
また、温めることで副交感神経が優位になり、ストレスによる緊張やホルモンの乱れも整いやすくなります。
冷えが強い人ほど生理痛が重くなりがちなので、カイロを活用して体を内側から温めることが大切です。
イランの臨床試験では鎮痛剤と同程度の効果が確認された
イランで2007年12月から2008年6月にかけて実施された臨床試験では、生理痛(一次性月経困難症)に対するカイロのような熱パッチの効果を、鎮痛薬イブプロフェンと比較して検証しました。
研究対象となったのは18〜30歳の女性147名で、すべて月経痛のある大学生でした。
被験者はランダムに熱パッチ群とイブプロフェン群に分けられ、それぞれ下腹部への貼付または400mgのイブプロフェンを8時間ごとに服用する処置が行われました。
痛みの評価にはMcGill Pain Questionnaire(短縮版)が使用され、月経開始後2、4、8、12、24時間の時点で痛みの強さが記録されました。
その結果、熱パッチを使用したグループは、感覚的な痛みのスコアがイブプロフェンと同程度に低下する傾向が見られました。
24時間を通じて両群の痛み軽減度はほぼ同等であり、非薬物療法としての熱パッチの有効性が示唆されました。
副作用のないセルフケア手段として、薬に頼りたくない人にとって熱パッチは実用的な選択肢となっています。
【答え】生理痛が和らぐカイロを貼る場所7選
正しい場所にカイロを貼ることで、生理痛を和らげることが出来ます。
こちらでは7つのカイロスポットを紹介します。
- 仙骨周り
- 腰
- 三陰交
- 足裏
- 下腹部
- 太ももの付け根
- 肩甲骨の間
仙骨周り

ズンと重いような鈍痛タイプの生理痛に悩んでいる方に特にオススメ
お尻の割れ目のすぐ上にある仙骨は、子宮や卵巣に近いため、ここを温めることでダイレクトに女性器官をケアできます。
また、副交感神経が通っているため、温めることで全身の緊張が和らぎ、リラックス効果が期待できます。
ホルモン分泌も安定しやすくなるため、生理痛だけでなく月経不順や妊活中の冷え対策としても有効なポイントです。
腰

寒さで全身が冷えやすい人や、冬場に痛みが悪化するタイプの生理痛にオススメ。
腰には命門と呼ばれる重要なツボがあり、ここを温めると内臓全体の働きが活発になります。
温められた血液が全身に巡ることで、手足の末端までしっかりと温まり、体全体の冷えが解消されやすくなります。
とくに冷え性や低体温の人には、仙骨とあわせて腰にもカイロを貼ることで、より高い温熱効果が得られます。
三陰交

手足の冷えが強く、下半身が重だるいタイプの生理痛の方にオススメ。
足の内くるぶしから指4本分上にあり、指で押すと痛みを感じる部分があります。
この部分は「三陰交」といい、婦人科系の不調に効果のあるツボです。
「三陰交」は、内臓の不調を広く改善してくれるツボであるため「万能のツボ」と呼ばれています。
ここを温めることで冷えや血流の悪さを改善でき、生理痛に効果的です。
「三陰交」にカイロを貼るのはなかなか難しいと思いますので、休憩中にカイロを当ててみるとよいでしょう。
足裏

冷えが原因で痛みが増すタイプの方や、常に足先が冷たいと感じる人にオススメ。
内臓を温めることも大切ですが、末端の冷えにも要注意です。
手先や足先から冷えた血液が体の中心へ流れると、せっかく温めた体がまた冷えてしまいます。
とくに、足の裏にある太い静脈が冷えてしまうことは避けましょう。
温かいままの血液を心臓へ返すためにも、足裏専用のホッカイロがあるのでそちらを活用してください。
下腹部

キリキリとした痛みや、刺すような下腹部痛がある人にオススメ。
おへその下から恥骨の上にかけての下腹部は、子宮に最も近い場所で、直接的な温熱ケアができる部位です。
冷えによって収縮しやすくなった子宮周辺を温めることで、生理痛の軽減が期待できます。
貼るときは下着の上から使用し、肌への直接接触を避けるようにしてください。
厚着しすぎると熱が届きにくいため、服装とのバランスも大切です。
太ももの付け根

足が冷えることで腹部まで痛くなる人や、下半身が重だるいタイプの人にオススメ。
脚の付け根、いわゆる鼠径部は、太い血管やリンパ節が集まる重要なポイントです。
ここを温めることで下半身全体の血流が促進され、骨盤内の冷えの改善にもつながります。
足の冷えやむくみ、生理時のだるさを感じる人にもおすすめの部位です。
座っている時間が長い日などにカイロを仕込むと、じんわりと温まりやすくなります。
肩甲骨の間

イライラや頭痛、不安などを伴うタイプの生理痛に悩む方にオススメ。
背中の中央、肩甲骨と肩甲骨の間にカイロを貼ると、自律神経の働きを整える効果が期待できます。
とくに、ストレスや緊張が原因で体がこわばりやすいタイプの人におすすめです。
副交感神経が優位になることで、リラックス状態が生まれ、ホルモンバランスも安定しやすくなります。
カイロを貼る際の注意点
カイロを貼る際には、以下の注意点を留意しましょう。
- 直接肌には貼らない
- 寝る時には使用しない
- 頭や脇の下には貼らない
直接肌には貼らないこと
高温ではないとはいえ、カイロを直接肌に貼り続けていると「低温火傷」をしてしまう可能性があります。
低温火傷は皮膚の表面は大したことがなくても、深部まで損傷することがあり大変危険です。
進行もゆっくりであることから人によっては気づきにくく、重症化しやすいため直接肌に貼ることはやめましょう。
また、長時間同じ個所での使用も避けるように心掛け、こまめに肌の状態を確認してください。
寝る時は使用しない
寝る時の使用は、布団の中で熱がこもってしまい本来想定している温度を超えてしまう可能性があります。
そのため、火傷につながりやすく危険です。
寝る前に布団の中を温めておくという使い方は大丈夫ですが、寝る時はカイロの使用は控えましょう。
どうしても体が冷えてしまうという場合は、湯たんぽにすると安全かつ快眠につながりますのでぜひお試しください。
頭や脇の下には貼らないこと
頭や脇の下は、体から熱を逃がす部分です。
ここにカイロを貼ってしまうと熱がこもってしまい、発熱や頭痛、ひどい場合には熱中症などを引き起こす恐れがあります。
体を温めることも大切ですが、体温の調節をしている部分を塞いでしまわないように注意しましょう。
カイロで身体を温めて生理痛に打ち勝つ
生理痛の対策として、カイロを使って体を温めることは非常に効果的な方法のひとつです。
特に仙骨や下腹部、腰、三陰交などのポイントを意識して温めることで、子宮周辺の血流が促進され、痛みの軽減が期待できます。
さらに、近年の臨床試験では、発熱パッチが鎮痛剤と同程度の効果を持つことも示されており、薬に頼らずケアしたい方にも適した選択肢といえるでしょう。
注意点を守って正しく使用すれば、カイロは副作用の少ないセルフケアとして非常に心強い存在です。
日常生活に無理なく取り入れられる温活習慣として、ぜひ活用してみてください。
この記事の参考サイト
生理痛の原因:バファリン総合トップ
Comparing the analgesic effect of heat patch containing iron chip and ibuprofen for primary dysmenorrhea: a randomized controlled trial:BMC Women’s Health