「肥満体型の人は、消費しきれなかった栄養が蓄えられて脂肪になっている」と思う人が多いでしょう。
肥満は見た目が美しくないだけでなく、さまざまな疾患を引き起こすきっかけにもなるので、なんとかしてダイエットをしたいと思うもの。
しかし、肥満体型の人は栄養失調になっている人も多いので、このまま運動をしても体型が変わる可能性は限りなく低いです。
本記事では栄養失調と肥満の関係性についてと対策を紹介していきますので、健康的にダイエットをしたい人は参考にしてくださいね。
良く食べる肥満体型の方が栄養失調の可能性もある!
栄養失調というと低体重の人を思い浮かべるかもしれませんが、実は肥満体型の人が約半数を占めています。
たくさん食べるから栄養を多く蓄えているとは限らないのです。
なぜ肥満の人が栄養失調になっているのか、原因を詳しく見ていきましょう。
食べる食材が偏っている!
肥満体型の人は食べる食材が偏っていることがほとんどで、栄養バランスが崩れていることが体重増加の原因として挙げられます。
食事は主食、主菜、副菜をまんべんなく食べられる和食が理想とされていますが、肥満の人は和食を食べる頻度はとても少なく、一品料理やジャンクフード、脂を使った料理などを好んで食べる傾向があるのです。
菓子類や炭水化物など糖質がメインになっている!
昼夜を問わず菓子類や炭水化物を大量に食べることで、糖質が体内に常時残っている状態になります。
糖質は脳や活動のエネルギーになるので欠かせない栄養素ですが、摂りすぎると消費できなかった分が蓄えられて体重増加を引き起こすので注意が必要です。
食物繊維が不足している方は意外と多い!
過食してしまうときは糖質を摂ることが多いので、便の排出をするために必要な食物繊維が不足しがちです。
食物繊維は野菜などに多く含まれていて、便秘予防のほかにも血糖値の急激な上昇を防いだりコレステロール値を下げたりなど、重要な生理機能を多く担っています。
日本人に不足している成分でもあるので、意識して摂取する必要があるでしょう。
栄養失調になると肥満になる?
病気や極端なダイエットによって食べない生活を続けていると、体内に必要な栄養が摂取できなくなり栄養失調を引き起こします。
そういったイメージから、標準体重に満たない人が栄養失調に陥ると思われることが多いですが、低体重とは反対に肥満になることも多いです。
以下では、栄養失調が肥満を引き起こす原因について解説していきます。
たんぱく質が不足すると痩せづらくなる?
身体の大部分を構成する筋肉はたんぱく質でできており、そのほかにも内臓や皮膚を構成しているので、人間の身体に欠かせないものとなっています。
たんぱく質が不足すると筋肉量が低下して痩せにくい身体へと変化。
肥満の人が好んで食べる食材にはあまりたんぱく質が含まれていないものも多いので、体重が増え続けていく原因になるのです。
食物繊維が腸内環境にも悪影響に!
腸内環境の悪化は便秘を引き起こし、老廃物も溜まりやすくなってダイエットの妨げになります。
食物繊維は腸内細菌の死骸や食べ物のカスを絡め取って便として排出してくれるので、腸内環境の改善にも貢献しているのです。
老廃物や食べ物のカスが溜まったままだと体重が落ちないだけでなく、美容面にも影響してくるので、早急に改善するようにしましょう。
糖質が血糖値を上げている!
食事をしたあとは血糖値が上昇しますが、血糖値を下げるために膵臓から脂肪を溜め込む働きがあるインスリンが分泌されます。
糖質をメインに摂取すると血糖値が急上昇しやすくなり、インスリンも大量に分泌されてどんどん脂肪を溜め込んでしまうのです。
また、血糖値の急激な変動は食後の眠気を引き起こしたりイライラを引き起こしたりの原因にもなります。
血糖値を緩やかに上昇させるように食べる順番を工夫するなどの、食事の仕方にも気を配りたいですね。
ビタミンやミネラル不足は代謝にも影響する!
肥満を予防するためには、糖質とたんぱく質をバランス良く摂れば良いというものではありません。
ビタミンやミネラルなども不足していると、代謝がうまく働かず痩せにくい身体になります。
摂取した糖質や脂質、たんぱく質を体内で使うためには代謝をしなければならないので、ビタミンやミネラルが不足しているとうまく代謝されずに栄養失調になることも。
野菜や果物、サプリメントを取り入れて、毎日必要な量のビタミン・ミネラルを摂取しましょう。
【太りづらい体質】栄養失調にならないための対策!
栄養失調にならないためには、
- たんぱく質
- 食物繊維
- 脂質
- ビタミン・ミネラル
をバランス良く摂る必要があります。
太りづらい体質になるために、詳細をチェックしていきましょう。
たんぱく質は1日50g?
たんぱく質は以下の食品に多く含まれています。
- 肉類(鶏肉、牛肉、豚肉等)
- 魚介類(かつお、まぐろ、さんま等)
- 大豆製品(納豆、豆乳、豆腐等)
- 卵製品
これらの食品を毎食取り入れて、1日に50g前後はたんぱく質を摂取したいところ。
しかし、体重や活動量によって摂取目安量は大きく変わります。
日常的に負荷の大きいトレーニングや運動をしていない人は、体重1kgにつきたんぱく質0.8~1.0gが摂取量の目安となり、普段から運動や身体を動かす仕事をしている人は、1.3~1.8gを目安にたんぱく質を摂るようにしましょう。
食物繊維は1日18g以上!
厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」では、1日に必要な食物繊維の量は女性で18g以上、男性で21g以上となっています。
食物繊維は便秘を防止するだけでなく血糖値の急激な上昇の抑制、コレステロール値の調整、腸内環境を整えるといった効果があるので、肥満にならないためにも積極的に摂取していきたいですね。
脂質は1日45g以上!
ダイエットで糖質と一緒に制限されがちな脂質ですが、1日に必要な量は男性で60~90g、女性で45~65gになります。
摂りすぎると糖質と同様に脂肪として蓄えられてしまいますが、活動をするうえでのエネルギー源となるので欠かせない栄養素です。
そのほかの働きとして栄養素の運搬や吸収、体温調整などさまざまな役割を担っているので、女性は1日45g以上の摂取を心がけましょう。
ビタミンやミネラルはサプリメントが効率的!
現代人に不足しがちなビタミン・ミネラルは、サプリメントを取り入れると効率良く摂取できます。
野菜や果物に多く含まれるビタミン・ミネラルは代謝をするうえで欠かせない栄養素ですが、体内で作られないものもあるため食事から取り入れる必要があります。
しかし、生活や仕事が忙しいと野菜や果物を毎食用意するのは難しくなりますよね。
そういった人は、サプリメントから必要なビタミン・ミネラルを取り入れましょう。
バランスが良く健康的な食事を!
今回は、栄養失調が肥満になってしまう原因と対策を紹介しました。
低体重のイメージがある栄養失調ですが、その半数を占めているのが肥満体型の人です。
食べる物が偏ると必要な栄養素が摂れず糖質や脂質過多になり、体脂肪のみが増えていくという悪循環に陥ります。
肥満体型の人が栄養失調にならないためには、
- 食事内容を見直して栄養バランスを意識する
- 血糖値を急激に上げない
- 糖質が多く含まれた間食の頻度を減らす
- 食べる順番を意識する(食物繊維を含む野菜を先に食べる)
- ビタミン・ミネラルを取り入れる
などを意識してください。
肥満は栄養失調になるだけでなく、さまざまな疾患を引き起こす原因にもなります。
身体に必要な栄養素を摂取して、肥満にならないように普段から取り組んでおきたいですね。