「食事制限してウォーキングもしているのに体重がなかなか落ちないのはなぜ?」
「筋トレをしたら痩せる、っていうけれど、筋肉ムキムキにならないかしら」
ダイエットに関して、こんな悩みや疑問をもっていませんか?
肥満を解消するためのダイエットと聞くと、どうしても、「食事制限」と「有酸素運動」の2つに目がいきがちですが、実は、もっと大切なことがあります。
筋トレで筋肉をつけるということです。
なぜならば、脂肪を効率的に燃焼させるには基礎代謝が高い身体をつくらなければなりませんが、筋肉はそのために必須の存在だからです。
今回は、この筋肉とダイエットとの関係にフォーカスして、痩せるためにどうして筋肉が必要なのか、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、筋トレをメニューに加えて、美しくて健康的なダイエットに取り組んでください。
肥満の解消に筋肉は必須!
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、肥満について、「体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を言います」と定義しています。
この肥満度は、体格指数BMI([体重(kg)]÷[身長(m)×身長(m)])の値で判定されますが、そのBMIに関しても、25以上だと、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態」を示していて、肥満になると定義されています。
また、BMIが25より低くて肥満に入らないものの、内臓に脂肪が過剰に蓄積している「隠れ肥満」に該当する人も見られるようです。
ちなみに、男女ともに標準のBMIは22.0とのこと。
以上からもわかるように、肥満かどうかは、体重もその判定の基準になりますが、それよりも、体脂肪がどのくらいついているかで決まるといえます。
つまり、肥満を解消するにはこの体脂肪を燃焼しやすい身体をつくらなければならないということです。
体脂肪が燃焼しやすい身体とは基礎代謝が高い身体のことをいいます。
そのために必要なのが筋肉なのです。
筋肉太りする事は稀。ほとんどの肥満体の人は筋肉量が少ない
筋肉が増えると、ムキムキになって、太って見えるんじゃないかしら…。
そんな不安を抱く人も多いようですが、心配はいりません。
女性の場合、女性ボディビルダーなどのようによほど筋トレに入れ込まない限り、筋肉太りすることはないので、安心してください。
それよりも、肥満に悩むほとんどの人は、筋肉量が少ない傾向にあるといわれているために、痩せるには積極的に筋肉をつける必要があります。
早速、自分が今どのくらいの筋肉量を維持しているのか、下記の計算式を使ってチェックしてみましょう。
筋肉量=[体重-体脂肪量(体重×体脂肪率※)] ÷ 2
筋肉率=筋肉量 ÷ 体重
※体脂肪率は以下の自動計算サイトで出すこともできます。
女性の場合の平均的な筋肉率は以下のとおりです。
■低め:25.9%以下
■標準:28.0〜29.9%
■高め:30.0%以上
これらの数値は大体の目安にすぎませんが、痩せるためには、高めの数値を目指して筋トレを継続することおすすめします。
筋肉をつけると体重は増えるが、見た目が引き締まり結果的に細くなる
筋トレをして筋肉をつけると体重が増えるのでは…と、気にする人は多く見られます。
確かに筋トレをつづけていると体重が増えることがあります。
これは、脂肪が増えて肥満度が高くなったわけではなく、筋肉がついてきた証拠です。
筋肉がついたということは、脂肪がそれだけ減ってきているということなのですが、筋肉の方が脂肪よりも重たいために、体重が増加してしまうのです。
しかし、見た目は、どうでしょうか。筋肉がついてきた身体は引き締まって見えるはずです。
たとえば、牛肉を思い浮かべてみてください。
赤身の部分と霜降りやラードなどの脂肪部分では、組織の密度や重量が違いますよね。
それと同じで、筋肉と脂肪では、同じ体積でも、筋肉の方が重く、しかも密度も高くなります。
つまり、逆説的に考えると、同じ50kgでも、肥満で体脂肪の多い身体は体積が大きくなるために太って見え、筋肉がついた身体は体積が小さくなるために、細く見えるということです。
いずれにしても、筋トレをつづけていれば、さらに筋肉が増え、その分、基礎代謝が上がるために、効率的な減量が期待できます。
筋肉をつける事で肥満が改善する3つの根拠
ここでは、筋肉をつけると、どうして基礎代謝が上がり、それが肥満解消につながるのか、解説していきます。
基礎代謝が上がり、カロリー消費量が増える
何もせずに生きているだけで消費されるエネルギー(カロリー量)のことを基礎代謝(量)といいます。
この基礎代謝は、骨格筋(筋肉)で22%、肝臓で21%、脳で20%という割合で消費されています。
肝臓も脳も大きくすることができませんが、筋肉は鍛えることで増やすことが可能な器官です。
つまり、基礎代謝を上げるには、筋肉を増やせばよいということになります。
筋肉がついて基礎代謝が上がると、何もしなくても消費されるカロリー量が増えます。
これは、太りにくい体質をつくっていくことが可能になるということです。
体温が上がり、保温のための脂肪が減る
筋肉には、体温を生み出すという役割もあります。したがって、筋肉が増えると体温も高くなります。
体温が下がると、身体は、冷えから守ろうとして脂肪や水分を貯め込みます。これが肥満につながるわけです。
反対に体温が高くなると、それまで貯め込んでいた脂肪は不要になり、エネルギー源として消費されます。つまり、脂肪が減って痩せていくということです。
また、体温と基礎代謝は密接にかかわっていて、体温が1度上がると、基礎代謝は12%ほどアップすることがわかっています。
たとえば、30~49歳の日本人女性の場合、1日の平均的基礎代謝は1150kcalなので、体温が1度上がると、1日に138kcalのエネルギーが余分に消費されることになります。
このように、体温や基礎代謝を上げて痩せやすい体質をつくるためにも、筋肉をつける必要があるのです。
運動やストレッチによるダイエット効果が増加する
ダイエットの大原則は、「摂取カロリー<消費カロリー」です。
そのためにほとんどのダイエッターは、食事制限を行って摂取カロリーを減らし、いろいろな運動を行って消費カロリーを増やす努力をしています。
その運動の中で、ダイエットに効果が期待できるのが有酸素運動です。
有酸素運動とは、酸素を取り入れて脂肪や糖質を燃焼させながら行う運動で、代表的なものとして、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などが挙げられます。
この有酸素運動の効果を高めるために必要なのが筋肉です。
筋肉が増えると、すでに説明したように、基礎代謝が上がります。
そこに有酸素運動が加わることで、効率的により多くの脂肪や糖質を燃焼させることができる、ということです。
ストレッチは、筋肉をほぐして身体の可動域を大きくするのに効果が期待できるエクササイズです。
筋肉をほぐすことで血流がよくなれば、さまざまな栄養素がスムーズに運ばれます。
脂肪を燃焼させるために必要な酸素も十分に行き渡ります。
つまり、ストレッチでほぐされる筋肉が大きければそれだけ供給される酸素も増え、燃焼される脂肪も多くなって、痩せやすい体質づくりが期待できるようになるわけです。
筋肉はダイエットを成功に導くためのカギとなる存在です。
有酸素運動やストレッチなどのダイエットの効果をより高めるためにも、ぜひ、ダイエットメニューに筋トレを加えましょう。
食事制限よりもまずは筋肉をつけよう
食べすぎは確かにカロリーオーバーになって肥満につながります。
だからといって、行き過ぎた食事制限は危険です。
食事制限をしながら有酸素運動をするというダイエットを実践していて、途中で、全く体重に変化が見られなくなったり、却って太ってきた、といった状況に陥る場合があります。
どうしてそういったことが起こるのでしょうか。
実は、わたしたちの身体は、エネルギー不足がつづくと脳が「飢餓状態」だと判断し、省エネモードに切り替えてしまうことがあります。
省エネモードに切り替わった身体は、摂取エネルギーや消費エネルギーに関係なく脂肪を貯め込もうとしはじめます。
また、食事制限によって栄養が欠乏してきた身体は、生存するために必要なたんぱく質や糖質を、筋肉を分解することで得ようとしはじめます。
つまり筋肉が痩せていき、基礎代謝もどんどん低くなっていくということですね。
このように行き過ぎた食事制限や誤った食事制限は、太りやすく痩せにくい体質をつくっていきます。
これでは何のために辛い食事制限に取り組んでいるのかわかりません。
ダイエットを成功に導くには筋肉が必須です。
その筋肉をつけるためには、トレーニングと同時に、たんぱく質を中心とした各種栄養素をバランスよく取り入れた食生活を維持する必要があります。
そのためにも、食事制限はカロリーオーバーにならない程度に抑えて、まずは筋肉をつくることからはじめることをおすすめします。
まとめ
この記事では、肥満を解消して理想の体型を手に入れるためのダイエットを成功に導くために欠かせないのが筋肉だということを解説しました。
筋肉がつくことで、外観も引き締まって見えるだけでなく、痩せやすい身体づくりへのアプローチが可能になります。
その根拠として、
- 筋肉が増えることで、脂肪燃焼を促進するための基礎代謝が高くなって、痩せやすい身体がめざせる
- 筋肉が増えることで体温が上がり、基礎代謝も高くなって、痩せやすい身体がめざせる
- 筋肉が増えることで、基礎代謝が高くなって、運動やストレッチなどのエクササイズによるダイエットの効果が促進される
という3点を挙げました。
脂肪を燃やすベースである基礎代謝を上げるために筋肉は必須の存在です。
筋トレと聞くと、ダンベルやマシンなどを使ったハードな運動を思い浮かべてしまいますが、そんなものを使わなくても、筋肉は、自宅で、自分の体重を使って行う自重力トレーニングでつけることができます。
プッシュアップ(腕立て伏せ)やスクワットなどは、それぞれに上半身と下半身の大きな筋肉を鍛えることができるのでおすすめです。
さあ今日からダイエットメニューに筋トレを加えて、失敗のない健康的で美しい身体づくりに挑戦してみましょう。