人にとって重要なミネラルである、マグネシウム。
体の中では50~60%が骨に、約1%が血中に存在します。
現代人は、マグネシウムが不足しがちということをご存知でしょうか。
カルシウム不足が強調される一方、マグネシウム不足についてはあまり耳にしません…。
そこで今回、マグネシウムの働きやPMS(月経前症候群)への影響についてご紹介します。
PMSで辛い思いをされている方へ。ぜひマグネシウムとの関係を知って、辛い症状が少しでも和らぐ方法をお試しくださいね。
人間の体内でのマグネシウムの4つの働き方
マグネシウムは、何百もの酵素反応に関係しています。
その働きをすべてご紹介することはできないので、ここでは4つに絞ってご紹介します。
血流の促進、安定
マグネシウムはカルシウムの働きをコントロールし、血流の促進や血圧の安定に役立っています。
これは、カルシウムが血管(平滑筋)収縮に働くのに対し、マグネシウムは調整を行い拡張させる作用を持っているためです。
しかしマグネシウムが不足すると、カルシウムをコントロールできません。
血管は収縮したままで、高血圧や不整脈、心疾患の原因にもなってしまうのです。
イライラを落ち着かせる
セロトニンという物質をご存知でしょうか。
こちらは、心の安定や安心に関わる神経伝達物質です。
セロトニンが不足すると、イライラや不安の原因になります。
脳が「セロトニンを放出せよ」という指令を出すとき、マグネシウムが欠かせません。
またストレスを感じると、マグネシウムは尿中に排出されてしまいます。
つまり、マグネシウム不足はセロトニン放出を減少させるだけでなく、ストレスによって更なるマグネシウム不足を生むということ…なんとも恐ろしいですね。
むくみを防止する
体内に過剰なナトリウムが停滞すると、水分をため込もうとしてむくみが生じます。
あの独特の怠さ、できれば避けたいですよね。
そこで活躍するのがマグネシウム。余分なナトリウムを排出させ、むくみを予防してくれます。
また、マグネシウムは腸内で水分を吸収するため、便秘にも嬉しい効果がありますよ。
子宮収縮を緩和する
生理前から生理中にかけて、腹痛や腰痛に悩まされる方は多いのではないでしょうか。
先ほど、マグネシウムは血管(平滑筋)の拡張に作用するとお伝えしました。
子宮も血管と同じく、筋肉の層が収縮・拡張を繰り返しています。
生理前から生理中にかけての腹痛や腰痛は、子宮の収縮が関係している場合が多いです。
マグネシウムはその収縮を和らげる作用を持っているため、痛みを緩和させる効果を期待できます。
マグネシウムが不足すると生理前症状(PMS)が悪化する
PMSをご存知でしょうか。
『月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。』
(引用)公益社団法人 日本産科婦人科学会
月経前症候群や生理前症候群とも呼ばれ、近年はPMSに関する情報が多く出るようになりました。
- 不安な気持ちが止まらない、イライラする、ずっと眠い。
- 吐き気や頭痛、腹痛、腰痛、乳房の張り、むくみ。
人によって程度も症状もさまざまですが、仕事や学校で「辛い」と言いにくい状況があるのも現実です。
そんなPMSですが、本題であるマグネシウム不足とどう関係しているのかを見てみましょう。
痛みがひどくなることも
すでに子宮収縮のお話で登場した通り、マグネシウムが不足すると、痛みがひどくなる可能性があります。
これは、子宮収縮にプロスタグランジンという痛み成分が関わっているためです。
過剰な子宮収縮を避けるためにも、マグネシウムはしっかりと摂取したいですね。
イライラや不安な気持ちのコントロールが難しい
マグネシウムが不足すると、セロトニンが放出できません。
セロトニンとは、心の安定や安心に関わる大事な物質でしたね。
PMSでは、ホルモン変化によってイライラや落ち込みなど、心の状態にも影響を及ぼします。
セロトニン効果で少しでも心晴れやかに、涙より笑顔の時間を過ごせますように…。
むくみが解消されにくい
PMSが原因でむくみが起こる場合は、女性ホルモン(プロゲステロン)が関係しています。
これは、プロゲステロンが水分をため込みやすい体へと変化させるため、いつもよりむくみやすくなるという仕組みです。
マグネシウムが不足すると、辛いむくみを解消しにくくなります…。
体の余分な水分やナトリウムを排出してくれる、大活躍のマグネシウムですが「どうやって摂取したら良いの?」と疑問に思いますよね。
次は、マグネシウムの摂取方法をご紹介します。
今からでも大丈夫。マグネシウムを摂取してPMSを和らげよう
マグネシウムの摂取方法を「サプリメント」「食べ物・飲み物」の2つに分けて見ていきましょう。
サプリメントで摂取する
市販のサプリメントは、最も手軽な摂取方法と言えます。
また、切り離せない重要成分として、マグネシウムとカルシウムが一緒になったサプリメントも販売されていますよ。
平成30年国民健康・栄養調査では、女性の1日当たりのマグネシウム摂取量は231mg(中央値)という結果が出ています。
推奨量は、270mg/日(18~29歳)、290mg/日(30~49歳)なので、不足していますね…。
また、通常の食品以外からの耐容上限量は、成人で350mg/日とされています。
これらの数値を参考に、サプリメントで補ってはいかがでしょうか。
厚生労働省
・平成30年国民健康・栄養調査
・日本人の食事摂取基準(2020年版)
食べ物や飲み物から摂取する
マグネシウムが多く含まれる食品は、豆類・野菜・穀類・海藻類・魚介類などです。
具体的な例はこちらをご覧ください。
(すべて100gあたり)
- アーモンド 290mg
- 木綿豆腐 57mg
- 油揚げ 150mg
- がんもどき 98g
- ほうれん草(生)69g
- 玄米 110mg
- ひじき(ゆでたもの)37mg
- 干しえび 520mg
- 豆乳 25mg
- 調整豆乳 19mg
サプリは手軽ですが、基本は毎日の食事から。
ぜひこれらを取り入れてみてはいかがでしょうか。
マグネシウムは欠かしてはいけないミネラルなので、積極的に摂取し続けよう
マグネシウムの働きやPMSとの関係、マグネシウムの摂取方法をご紹介しました。
私たちの体にとって、必要不可欠のマグネシウム。
そして、PMSに悩む女性にとっては、症状緩和の糸口になったのではないでしょうか。
毎月訪れるブルーな時期。生理期間を含めると、月の約半分は女性ホルモンの変化で体調不良を起こしやすいとも言えます。
カルシウムと同じくらいマグネシウムも大切!そして何より、笑顔で過ごせる日々が大切です。
毎日の食事に、積極的にマグネシウムを取り入れていきましょう。