生理中の鉄分不足や貧血は多くの女性の悩みです。
しかし、それは仕方がないことだと諦めてはいませんか?
実は鉄分不足を放置すると、女性にとって嬉しくない様々な結果をもたらす可能性があるのです!
この記事では、鉄分不足によるデメリットと対策を解説しています。
正しい知識できちんとケアしましょう。
生理中に鉄分が不足!どんなデメリットがある?
生理中は鉄分が不足してしまいがちです。
生理中に不調を感じる方は多いのではないでしょうか。
この章で、貧血が体にどのような影響を与えるのかを見てみましょう。
具体的には次のようなデメリットがあります。
- 貧血による体調不良
- 生理不順による不妊
- 肌荒れや髪のパサつき
以下で詳しく解説します。
生理中の貧血による主な症状!
生理中の貧血による症状で良く知られているものが、めまいや吐き気です。
それに加えて、実は眠気もあるのをご存知でしょうか。
この眠気は、貧血により血中のヘモグロビンが減少することが原因です。
ヘモグロビンは酸素を運んでいるため、これが減ると脳の活動量が低下してしまい眠気を感じるようになります。
疲れがたまっていたり寝不足になったりしやすい方は、イライラを感じることもあるでしょう。
生理不順による不妊!
鉄不足は、生理不順をも引き起こします。
生理不順になるメカニズムは、排卵が関係しています。
鉄分は卵細胞の成長に必要であるため、鉄分不足になると卵子が育ちにくくなったり質を下げたりしてしまうのです。
卵子が育たなければ、排卵が起こらないため生理も起こりません。
生理周期が把握できなければ、いつ妊娠できるかも分かりませんよね。
また、鉄不足に陥ると、妊娠しやすい体を作るための「黄体ホルモン」の分泌が減少してしまいます。
そのため、子宮内膜が成熟しにくくなり受精卵が着床しにくい状態になってしまい、不妊になりやすくなってしまうのです。
美容にもデメリットが!
一方、鉄分不足は美容にもデメリットがあります。
ヘモグロビンは酸素と結びつくことで赤くなるので、貧血になると肌の血色が失われるのはそのためです。
また、コラーゲンの生成にも鉄分がかかわっているため、鉄分不足になると肌はカサカサのぼろぼろ。
髪や爪までうるおいを保てなくなり、疲れた印象や実年齢よりも老けて見えてしまいます。
そのほか、肌のターンオーバーも低下してシミができやすくなってしまうため、一気に老けた印象になるでしょう。
生理前後でも貧血が!病気の可能性は?
鉄分不足は長い期間をかけて少しずつ進行します。
その原因は生理や過度なダイエットがあげられますが、生理前後でも貧血が起こる場合は病気が隠れている可能性があります。
代表的な物は、PMSや月経困難症です。
女性ならどちらも耳にしたことがあると思いますが、ここで改めて理解度を高めましょう。
PMSの可能性!
血液検査をしても貧血を指摘されない場合は、フェリチンが不足している場合があります。
フェリチンは「貯蓄鉄」といい、体内に貯蔵されている鉄分量を示しており、これが不足すると「PMS(月経前症候群)」がひどくなることがあるのです。
鉄分は肝臓や脾臓に貯蓄しておけるので、鉄分の摂取量が少なくてもすぐに貧血を起こすわけではありません。
しかし、女性は毎月の生理によって大量の血液を失いますよね。
そのため徐々にフェリチンが減少し、通常の採血では指摘されない「隠れ貧血」を引き起こしてしまいます。
前述したとおり、フェリチンは通常の採血では検査されないため見逃されてしまうことが多いです。
ヘモグロビンの値が正常なのに、貧血がつらい場合は採血でフェリチンの検査を申し出ましょう。
月経困難症の可能性!
月経困難症はPMS同様の症状のほか、以下のような体調不良が表れます。
- 頭痛
- 腹痛
- 肩こり
- 体のだるさ
- むくみ
- 下痢
貧血と合わせてこのような症状があれば、月経困難症の可能性があります。
月経困難症の原因には「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」「子宮内膜症」があげられ、生殖年齢女性に多い病気です。
月経前後の身体症状を詳しく把握しておき、医療機関で相談しましょう。
生理中には鉄分を1日何mg摂るべき?
それではここから、鉄分不足を防ぐためにどの程度の鉄分を摂取すればよいのか解説します。
女性は、妊娠・出産というとても大切な時期がありますよね。
鉄分不足は自身の体だけでなく胎児にも影響します。
もしもあなたが妊娠を希望しているのであれば、妊娠前に解消しておきたい症状です。
この章では、現代の女性が鉄分不足に悩む理由と1日の摂取量を紹介します。
今貧血で悩んでいる方を含め、将来妊娠を望む方はぜひ参考にしてください。
鉄分不足の女性は意外と多い!
日本は先進国であり、食料にも大変恵まれた国です。
しかし、厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査では鉄分が不足しているとの結果が出ています。
その理由は食生活の洋風化、食事内容の簡素化、過度なダイエット、偏食などで摂取する栄養素のバランスが乱れているからと考えられています。
小林製薬が2005年に20~59歳の女性5082人を対象に行った調査では、約65%が貧血の自覚症状がありました。
先進国で6割以上の女性が貧血に悩んでいるのは、なかなかの問題ではないでしょうか。
1日10.5mgは摂ろう!
厚生労働省が定める食事摂取基準(2020年)では、生理のある女性1人あたりの鉄分摂取推奨量は1日10.5mgとされています。
女性は毎月の生理で約17mgの鉄分を失っており、この推奨量は毎日必要な量なのです。
効率的に摂取するためには、いろいろな食品から摂取することが基本となります。
鉄分の吸収をよくするビタミンCや造血に必要なたんぱく質やビタミンB6・B12、葉酸、銅なども積極的に摂取するとよいでしょう。
生理中の鉄分補給!おすすめの食材は?
ここからは、生理中の鉄分補給におすすめの食材やサプリメントを紹介します。
基本的には、1日3食の食事で他の栄養素とともにバランスよく摂取するのが理想です。
食事での摂取を主として、サプリメントは補助として使用するよう心掛けましょう。
また、鉄分の吸収を阻害する食材も紹介していますので参考にしてください。
鉄分を多く含む食材!
鉄分を多く含む食材と、1食分の摂取目安、鉄含有量は以下のとおりです。
食品 | 1食分の目安量 | 鉄含有量(mg) |
豚レバー | 60g | 7.8mg |
鶏レバー | 60g | 5.4mg |
牛ひれ肉 | 100g | 2.5mg |
マイワシ | 80g | 1.7mg |
鶏卵 | 60g(1個) | 1.1mg |
牡蠣 | 60g | 1.3mg |
小松菜 | 70g | 2.0mg |
ほうれん草 | 70g | 1.4mg |
枝豆 | 50g | 1.4mg |
豆乳 | 200ml | 2.4mg |
レバーや赤みの肉は鉄含有量がとても多く、豚レバーや鶏レバーは1食分で1日の摂取推奨量の半分以上を補給できます。
植物系食品では緑黄色野菜や大豆製品があげられているほか、海藻類も含有量が多いとされています。
和食でなじみのある食材なので、取り入れやすいですね。
サプリメントが効率的!
しかしながら、食事だけでは目標の10.5mgを摂取できない日もあるでしょう。
そのような時はサプリメントを活用してください。
以下におすすめのサプリメントと特徴をまとめました。
【アサヒDear-Naturaヘム鉄×葉酸+ビタミンB6・B12・C】
鉄分と葉酸、そして3種のビタミンが同時に摂れる、妊娠を望む女性に嬉しいサプリメントです。
ヘム鉄(※1)含有量350mg(鉄7mg含有)、1日2粒を目安として摂取してください。
URL:https://www.dear-natura.com/product/detail/heme-yousan-pouch
【DHCヘム鉄】
ヘム鉄を500mg(鉄10mg)と、鉄含有量がとても高い商品です。
1日2粒摂取で、摂取推奨量をクリアできます。
ただし、1日の耐容上限量を超えないよう注意が必要です。
ビタミンB12と葉酸も配合しています。
URL:https://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=32844
【小林製薬ファイチ】
こちらは、サプリメントではなく医薬品となっていますが多くの方に愛用されている商品なので紹介します。
血中のヘモグロビンを造る貧血改善薬。1日1回2錠、朝飲めば1日効果があるので生活に取り入れやすい商品です。
鉄分の他に、ヘモグロビンや赤血球の生成を助けるビタミンB12や葉酸も配合しています。
溶性ピロリン酸第二鉄(※2)を79.5mg含有。コーティング剤なので鉄の味やにおいはしません。
URL:https://www.kobayashi.co.jp/brand/faichi/
※1動物性食品に含まれる吸収率の高い鉄分
※2鉄欠乏性貧血治療剤
避けるべき食材や飲み物!
鉄分の吸収を阻害する食材はもちろんあります。
現代人が貧血に悩まされる原因ともなっているので、以下を参考にして摂りすぎに注意しましょう。
【タンニンを含む飲み物】
緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどに含まれるタンニンは鉄分と結合してしまうため、鉄分の吸収を阻害してしまいます。
食事中や食後に摂取するのは控えましょう。
【玄米・おから】
玄米やおからはダイエットによく用いられる食品ですが、不溶性食物繊維を含んでいるため、鉄分が便とともに排出されてしまいます。
【リン酸塩を含む加工食品】
添加物の一種のリン酸塩は鉄分の吸収を阻害します。
ハムやソーセージ、かまぼこなどの練り製品、清涼飲料水、スナック菓子などに使用されているので、これらの食べ過ぎには注意しましょう。
生理中に鉄分を摂りすぎると危険?
15歳以上の女性の1日の耐容上限量は40mgと食事摂取基準で定められています。(12~14歳の女性の上限は50mg)
通常の食事では、耐容上限量を超えることはほぼありませんが、生理中だからといってサプリメントを多用すると命に関わる病気を発症する可能性があります。
以下で詳しく解説しますので、十分に注意してください。
鉄中毒のリスクが高まる!
長期的に過剰摂取してしまうと「鉄中毒」になる恐れがあります。
鉄中毒とは、消化管や肝臓、心臓、脳にダメージを与え死に至ることもある大変恐ろしい病気です。
人は生理以外で体外に鉄を能動的に排泄する仕組みがなく、過剰に摂取したとしてもどんどん体内にため込んでしまいます。
また、内分泌器官(特に膵臓、性腺、下垂体)や肝臓、心臓に鉄が蓄積されてしまうと「鉄過剰症」を発症することもあるので、過剰摂取にならないよう十分気をつけましょう。
心臓病の発症率も高まる!!
鉄過剰症の延長ですが、心臓の筋肉に鉄が蓄積されてしまうと徐々に心臓の動きが悪くなります。
この症状は一旦悪くなると、なかなか元には戻りません。
さらに、採血検査では体内に鉄が過剰にあることは分かっても、心臓にどれだけ蓄積されているかどうかは分からないのが現状です。
心臓MRI検査をする必要がありますが、そこに辿り着くまで時間がかかってしまいます。
進行もゆっくりで通常の検査でも分かりづらいので、知らず知らずのうちに心臓病のリスクが高くなってしまうのです。
過剰摂取に注意して生理と上手く付き合おう!
鉄分の大切さと、過剰摂取の恐ろしさについて解説してきました。
女性にとって重要な鉄分で、死に至ることがあるのは驚きですよね。
もし、あなたがひどい貧血に悩まされているのであれば医療機関でヘモグロビンとフェリチンの値を調べてもらいましょう。
専門医ではあなたに合った適切なアドバイスをしてくれますので、この記事で得た知識を医師と相談の上実践してみてはいかかでしょうか。
正しい知識で、生理による鉄分不足を解消しましょう!