ピルを服用したあと、「副作用で臭いが強くなった」「体臭が変わった」と感じる人は少なくありません。
ピルが直接ワキガや体臭を悪化させるわけではありませんが、ホルモンバランスの変化による発汗量の増加が影響することがあります。
この記事では、ピル服用と臭い・体臭変化の関係、対策方法まで詳しく解説します。
ピルの副作用で臭い・体臭が変わることがある
ピルは女性ホルモンをコントロールし、避妊や生理トラブルの改善をもたらします。
一方で、副作用による体内環境の変化から「体臭が変わった」「匂いがきつくなった」と感じる人もいます。
これはホルモンバランスの変化による発汗量の増加が、臭いの強さに影響しているためです。
ピルで臭いが強くなるのは、基礎体温が上がるから
ピルを飲むと、疑似的に「妊娠している」と脳が錯覚し、基礎体温が上昇した状態が持続します。
これは女性ホルモン(特に黄体ホルモン)の血中濃度が高まることが原因です。

この「高温期」の持続によって、普段よりも汗をかきやすくなります。
わずかな運動でも「暑い」と感じたり、寝汗をかくケースも珍しくありません。
汗の量が増えることで、皮膚上の細菌が活発になり、臭いが強くなることがあります。
ワキガ体質の人はピルで臭いが悪化しやすい傾向がある
ピル自体にワキガを悪化させる作用はありません。
ただし、もともとワキガ体質の人は注意が必要です。
汗をかきやすくなることで、アポクリン腺からの分泌物が増え、結果的にワキガの臭いが強調されることがあるためです。
特に脇やデリケートゾーンなど、汗腺の多い部位に臭いを感じやすい人は、ピルの服用による発汗変化に敏感に反応しやすい傾向があります。
脇やデリケートゾーンなど限られた部位に存在する汗腺。
脂質やタンパク質を含む汗が分泌される為、皮膚の常在菌と反応して強い体臭を生み出します。
アポクリン汗腺の量が多い人を、ワキガ体質と言います。
ワキガ体質じゃない人は、正直そこまで臭いは強くならない
ピルの服用によって汗の量が増えても、ワキガ体質でない人は体臭が強くなる心配はあまりありません。
ワキガはアポクリン汗腺が関係しますが、通常はエクリン汗腺から99%水分のサラサラ無臭汗が分泌されるためです。
ただし、汗を放置すると皮膚上の細菌が繁殖し、汗臭さを感じることがあります。
こまめな拭き取りや制汗ケアを意識すれば、十分に防げます。
ほぼ全身に分布している汗腺。
99%以上が水分の汗が分泌されます。
アポクリン汗腺と違って、脂質やタンパク質が含まれない為、ほとんど無臭です。
ピル服用による臭いや汗対策には制汗剤の準備と併用が効果的
ワキガ体質の人も、ただ汗の量が多い人も、どちらもピル服用前から制汗対策を準備しておけば、臭いは大幅に減らせます。
ここでは、体臭を撃退するために効果的な対策方法を紹介します。
- 発汗自体を抑える制汗剤を取り入れる
- こまめに使えるデオドラントアイテムを携帯する
- 通気性の良いインナーを活用する
- 普段から汗をかく習慣をつける
- 生活習慣も意識して臭い対策を
発汗自体を抑える制汗剤を取り入れる
汗の量を減らすには、汗腺に直接作用するタイプの制汗剤を取り入れるのが効果的です。
海外製の「パースピレックス」などは、夜に塗るだけで数日間発汗を抑えられる高機能タイプです。
ワキガ体質の人や、汗量が多く臭いを気にしている人に特に向いています。

パースピレックスコンフォート
臭いを抑えるデオドラントアイテムを携帯する
外出先では、汗をかいた後すぐにケアできるアイテムが役立ちます。
ロールオンタイプ(例:Ban汗ブロックロールオン)は汗を防ぎつつ臭いをカバーし、ボディシート(例:ギャツビー薬用デオドラントボディペーパー)は汗や汚れを拭き取ってリフレッシュできます。
シーンに応じて使い分けるのがおすすめです。
通気性の良いインナーを活用する
汗をかきやすい時期やシーンでは、速乾・消臭機能付きのインナーが効果的です。
エアリズムやミズノのブレスサーモなど、機能性インナーを選ぶと、汗だまりを防ぎ清潔感をキープできます。
普段から汗をかく習慣をつける
普段から適度に汗をかくことで、汗腺が鍛えられ、サラサラとした良質な汗が出やすくなります。
質の良い汗はほとんど無臭で、老廃物の排出も促されるため、体臭対策にも効果的です。
ウォーキングや軽いジョギングなどを習慣にすると、汗の質を高めながら健康維持にもつながります。
ただし、汗をかいた後はしっかり拭き取りやシャワーでケアを行うことが大切です。
生活習慣も意識して臭い対策を
発汗や体臭は生活習慣にも影響されます。
脂っこい食事を控えたり、シャワー後はしっかり乾燥させることで、汗や菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
特に睡眠不足やストレスも体臭悪化の原因になるため、規則正しい生活を心がけましょう。
汗ケアと生活習慣を見直して、ピル服用中の臭いを撃退しよう
ピル服用中に汗や臭いが気になるのは、体温上昇や発汗量の変化による自然な反応です。
事前に制汗剤を準備し、普段から汗をかく習慣を取り入れることで、臭い対策は十分に可能です。
さらに、生活習慣を整え、こまめなケアを心がければ、汗も臭いも怖くありません。
ピル服用を安心して続けるために、今日からできる対策を始めましょう。
この記事の参考サイト
基礎体温の基礎知識
とってもやさしい、ピルの選び方 : うさぎ 女性のための診療所
腋臭症(ワキガ)はどんな病気ですか? : 皮膚科Q&A