プレマリンは、更年期障害や生理不順、排卵障害などに対して処方されるエストロゲン製剤です。
本記事では、プレマリンの効果や副作用、正しい飲み方、避妊との関係まで、初めて服用する方にもわかりやすく詳しく解説しています。
医師の見解や添付文書に基づいて、実際によくある疑問にも触れながら構成しているので、服用中の方・これから服用を検討している方の不安解消に役立つ内容です。
プレマリンの効果
プレマリンは、女性ホルモン(エストロゲン)を補うための薬であり、主に婦人科系疾患の治療に用いられます。
避妊を目的とするものではなく、生理周期の乱れや更年期症状を改善するために処方されることが一般的です。
- 婦人科系疾患への治療効果
- カウフマン療法で生理リズムを思い出すために使われる
- 避妊を目的とした効果はない
婦人科系疾患への治療効果
プレマリンは以下の婦人科疾患の治療に用いられます。
- 更年期障害
- 機能性子宮出血
- 卵巣機能不全症
- 子宮内膜症
これらの疾患は、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が不安定だったり、不足することで起こります。
プレマリンを服用することで、体内のエストロゲン濃度を補い、ホルモンバランスを整える作用があります。
たとえば、更年期障害においてはホットフラッシュや不眠、情緒不安定などの症状を緩和し、機能性子宮出血においては子宮内膜の安定化によって出血を抑える効果が期待されます。
カウフマン療法で生理リズムを思い出すために使われる

カウフマン療法は、生理不順や無月経など排卵障害がある場合に、生理周期を人為的に再現する治療法です。
この療法では、まずプレマリンを約10〜14日間服用してエストロゲンを補い、子宮内膜を増殖させます。
その後、デュファストンなどのプロゲステロン剤を数日間追加で服用し、ホルモン環境を黄体期へと移行させます。
プロゲステロンを中止することでホルモンレベルが急激に低下し、消退出血という形で月経様出血を引き起こします。
これにより、体に本来のリズムを思い出させ、自然排卵や月経が再開することを促します。
避妊を目的とした効果はない

プレマリンは、ピルと同様に女性ホルモンの一種であるエストロゲンを含んでいますが、排卵抑制や子宮内膜の変化といった避妊に必要な作用を持ちません。
そのため、いくらプレマリンを飲んでいても、排卵が起こる可能性はあり、精子と卵子が受精すれば妊娠する可能性があります。
ピルはエストロゲンとプロゲステロンの合剤であり、排卵抑制・子宮内膜の薄化・頸管粘液の変化といった複数の避妊機序を備えていますが、プレマリン単体ではこれらの効果は得られません。
プレマリンの副作用とリスク
プレマリンはホルモン製剤であるため、体質や体調によって副作用が出ることがあります。
軽度のものから重篤なものまで幅広く、服用中は体調の変化に注意し、異変があれば医師に相談しましょう。
軽度で一般的な副作用
プレマリンを服用すると、以下のような副作用が現れる可能性が報告されています。
分類 | 症状例 |
---|---|
全身症状 | 倦怠感、発熱、悪寒 |
消化器系 | 食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満、下痢 |
精神神経系 | めまい、頭痛、眠気、神経過敏、不眠、抑うつ |
皮膚・粘膜 | 脱毛、多毛、ざ瘡(にきび)、そう痒感、じん麻疹 |
内分泌系 | 乳房痛、月経異常、子宮出血、乳汁漏出、満月様顔貌、無月経、子宮腟部糜爛、帯下の変化 |
肝臓 | 肝機能の異常、黄疸 |
代謝系 | 浮腫、体重増加、耐糖能異常 |
血栓症・蕁麻疹などの重篤な副作用
プレマリンを服用すると、以下のような重篤な副作用が現れる可能性が報告されています。
分類 | 症状例・警戒すべき理由 |
---|---|
血栓症 | 脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症など。 ふくらはぎの痛み・腫れ、胸の痛み、息切れ、麻痺、視野の異常、激しい頭痛などが現れる。 |
ショック・アナフィラキシー | 呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹など。 |
乳頭水腫 | 視力の低下・消失、眼球突出、複視、急な片頭痛などが出た場合は、直ちに服用を中止して眼科を受診。 |
眠気や倦怠感など体調変化の注意点
眠気や倦怠感、めまいは、ホルモンバランスの急な変化に体が順応しようとする過程で起こることがあります。
特に服用初期に多く見られ、長引く場合は日常生活に支障をきたすことがあります。
倦怠感が強く集中力が保てない、車の運転に支障が出る、起床が困難になるなどの症状がある場合は、自己判断で継続せず医師に相談してください。
また、他の薬との飲み合わせや生活習慣の影響で症状が強まるケースもあるため、体調の変化を記録し、受診時に詳細を伝えることが大切です。
プレマリンの正しい飲み方と注意点
プレマリンの効果を十分に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、正しい服用方法と服用中の自己管理が欠かせません。
ここでは、プレマリンの飲み始めから服用中の対応、周期の乱れに対する判断まで、実際に悩みやすいポイントを具体的に解説します。
- 服用終了から2~5日以内に生理が来る
- 服用中に生理が来た場合の考え方と対応
- 生理周期が乱れているときの服用タイミング
- 服用中の体調変化に気づいたときの対応
服用終了から2~5日以内に生理が来る
プレマリンはホルモン補充療法の一環として処方されることが多く、単独あるいは他のホルモン剤と組み合わせて使われます。
服用後の生理(消退出血)は、2剤の服用終了から2〜5日以内に起こりますが、体質やホルモンの感受性によって前後することがあります。
排卵誘発や周期調整を目的とする場合は、医師が設定したスケジュールどおりの服用を守ることで安定した周期が期待できます。
服用中に生理が来た場合の考え方と対応
プレマリン服用中に出血が起こると不安になる方も多いですが、これは必ずしも異常ではありません。
特に治療初期や子宮内膜が不安定な状態では、ホルモン補充の過程で一時的に出血することがあります。
ただし、出血が1週間以上続く、量が多すぎる、痛みを伴うといった場合には、他の原因(子宮筋腫やポリープ、ホルモン過剰反応など)の可能性もあるため、医師の診察を受けましょう。
生理周期が乱れているときの服用タイミング
無月経や不規則な生理周期がある場合、プレマリンの飲み始めをいつにするか悩むことがよくあります。
基本的には医師の指示に従うことが前提ですが、「生理の○日目から開始」と明示されていない場合は、出血が確認できたタイミングや、前回の服用日からの日数を目安に計算することになります。
このようなケースでは、自己判断よりも生理記録やアプリを活用し、医師に相談した上での調整が最も安全です。
服用中の体調変化に気づいたときの対応
プレマリンを服用していると、ホルモン補充による影響で体調が変化することがあります。
例えば、服用後に強い眠気や吐き気を感じる人や、精神的に不安定になるケースもあります。
これらの症状が一時的であれば様子を見てもよいですが、日常生活に支障が出るようであれば、処方の変更や量の調整が必要になる場合もあります。
自己判断で中止したり、服用を飛ばしたりするとホルモンバランスがさらに乱れることがあるため、必ず医師に相談することが大切です。
プレマリン服用中の性行為と妊娠予防の考え方
プレマリンは女性ホルモンを補う薬であり、妊娠を防ぐ避妊薬とは性質が異なります。
そのため、服用中であっても排卵が起こる可能性はゼロではなく、性行為をする際には注意が必要です。
治療の目的や体調によっては妊娠のリスクが存在するため、適切な避妊対策を行うことが重要です。
- 治療中でも妊娠の可能性がある
- プレマリン服用中も避妊は継続すべき
治療中でも妊娠の可能性がある
プレマリンを含むホルモン療法中は、一時的に排卵が抑制される場合がありますが、これは避妊を目的とした作用ではありません。
特にカウフマン療法中であっても、ホルモン投与の影響により自然排卵が回復することがあります。
無月経や不妊治療中だからといって油断すると、排卵が再開して予期せぬ妊娠につながる可能性があるため、治療期間中でも妊娠リスクがゼロではないことを理解しておく必要があります。
プレマリン服用中も避妊は継続すべき
プレマリンは避妊薬ではなく、ホルモン補充を目的とした治療薬であるため、服用中も妊娠を防ぐ効果は期待できません。
性行為を行う場合は、コンドームの使用やパートナーとの避妊計画をしっかり立てる必要があります。
特に妊娠を希望していない期間中は、プレマリンの服用に安心せず、医師の指導に基づいた適切な避妊方法を選択しましょう。
また、避妊をしないまま性行為を行うと、治療と妊娠が重なり薬の継続可否にも関わるため、妊娠の可能性がある場合は速やかに医師へ相談することが大切です。
プレマリンを正しく理解し安全に服用しよう
プレマリンは、ホルモンバランスの乱れによる症状を改善するための有効な薬です。
一方で、避妊効果はなく、副作用にも注意が必要です。
正しい情報をもとに、医師と相談しながら安全に治療を進めましょう。
この記事の参考サイト
医療用医薬品プレマリン:kegg
更年期障害:公益社団法人 日本産科婦人科学会
機能性子宮出血:みんなの家庭の医学
子宮内膜症:公益社団法人 日本産科婦人科学会
カウフマン療法・ホルモン療法:セントマザー産婦人科医院