生理痛は、多くの女性にとって毎月悩まされるつらい症状のひとつであり、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴うこともあります。
このような生理痛をやわらげる方法のひとつとして、カロナールという鎮痛薬が用いられることがあります。
本記事では、カロナールの生理痛に対する作用や服用時の注意点、他の鎮痛剤との比較について詳しく解説します。
生理痛で悩んでいる方、カロナールで生理痛を和らげたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
服用前に知っておきたいカロナールの効果・特徴
カロナールの有効成分はアセトアミノフェンであり、主に脳に作用して痛みを和らげたり、熱を下げたりする効果があります。
カロナールの主な特徴は、次のとおりです。
- 軽度の生理痛を和らげる効果がある
- 胃への負担が比較的少ない
- 眠くなりにくい
- 幅広い年齢層が服用できる
カロナールの具体的な特徴を知り、自身に適しているかチェックしてみましょう。
軽度の生理痛を和らげる効果がある
カロナールは比較的穏やかな作用を持ち、軽度から中程度の生理痛をやわらげる効果が期待できます。
有効成分のアセトアミノフェンは、脳にある痛みの伝達をコントロールする中枢神経に作用することで、痛みの感覚を緩和します。
一方で、生理痛の原因のひとつである「プロスタグランジン」は、子宮の収縮を引き起こす物質で、過剰に分泌されると強い痛みや炎症を伴います。
カロナールにはこのプロスタグランジンの生成を抑える作用がほとんどないため、炎症を伴う強い痛みへの効果は限定的です。
そのため、痛みがまだ軽いうちや、生理痛のピークに達する前に服用することで、日常生活への影響をやわらげることができます。
効果は穏やかで痛みが緩和される程度
カロナールの鎮痛効果は比較的穏やかである為、生理痛の痛みを完全に無くすことは難しいとされています。
痛み始める前に服用することで痛みのピークを抑え、日常生活への影響を軽減する効果が期待できます。
強い痛みに悩まされている場合は、他の鎮痛剤の検討や医師への相談も視野に入れてみてください。
炎症を抑える効果は弱い
カロナールには炎症を抑える成分は入っていないため、風邪による喉の痛み、外傷に対する効果は弱いです。
ロキソニンやイブなどの他の鎮痛剤と比較すると、効果が限定されます。
あまりにも痛みがひどい場合、子宮内で炎症が起きている可能性がある場合は、プロスタグランジンの生成を抑える効果が高い鎮痛剤の方が効果的でしょう。
胃への負担が比較的少ない
カロナールは、胃への負担が比較的少ない点が特徴です。
痛みのもとになるプロスタグランジンは、胃の粘膜を保護する役割も担っています。
カロナールの有効成分であるアセトアミノフェンには、プロスタグランジンの生成を妨げる作用がありません。
そのため、胃への負担が心配な方におすすめです。
ただし胃腸に持病がある方や、長期間服用する場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
眠くなりにくい
カロナールの有効成分であるアセトアミノフェンには、眠気を誘発する作用がほとんどありません。
そのため仕事や学業、運転など、集中力を必要とする場面でも、安心して服用できます。
日中の活動に影響を与えにくい点は、日常生活を送るうえで大きなメリットといえるでしょう。
幅広い年齢層が服用できる
カロナールの有効成分であるアセトアミノフェンは、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層に処方されています。
他の鎮痛剤に比べて副作用のリスクが比較的低く、胃への負担が少ない点が特徴です。
そのため小さな子どもや高齢者、妊娠中・授乳中の女性も服用が可能です。
ただし、年齢や体重に応じた適切な用量を守る必要があるため、自己判断せずに医師や薬剤師に相談してから服用しましょう。
カロナール(アセトアミノフェン)の正しい服用方法・注意点
カロナールは医師による処方のほか、ドラッグストアでも入手できます。
正しく使用するためのポイントは、主に次のとおりです。
- 200mgなら1回2錠、500mgなら1錠
- 1日3回まで、服用間隔は4時間以上
- 小学生・中学生・妊婦も服用可能
服用の際は薬剤師の指示、または説明書に従ってください。
【1回あたりの服用量】200mgなら1回2錠、500mgなら1錠
生理痛の場合、成人女性における1回の服用量は通常300〜500mg程度が一般的で、痛みが強い場合でも1,000mgを上限とします。
痛みが強くなる前に服用することで、より良い効果が期待できます。
カロナール200mg錠の場合 | 1回2錠(400mg) |
---|---|
カロナール300mg錠の場合 | 1回1〜2錠(300〜600mg) |
カロナール500mg錠の場合 | 1回1錠(500mg) |
通常は「200mgで2錠」または「500mgで1錠」から始め、症状が改善しない場合は4〜6時間以上あけて再度服用することが可能です。
ただし、1日合計で4,000mgを超えないように注意してください。
1日3回まで、服用間隔は4時間以上
カロナール(アセトアミノフェン)を生理痛の鎮痛目的で使用する際は、1日3回までにとどめ、服用間隔は必ず4時間以上空ける必要があります。
これは、アセトアミノフェンが肝臓で代謝される薬剤であり、短時間に繰り返し服用すると体内に蓄積しやすくなり、肝機能に負担をかける可能性があるためです。
1日3回という服用回数の上限は、血中濃度の過剰な上昇を防ぎ、鎮痛効果を安定して持続させるために設定されています。
特に、生理痛は数日間にわたり連続して服用されるケースが多いため、1回ごとの使用は安全でも、服用を重ねることで過量摂取や肝障害のリスクが高まる点に注意が必要です。
【要相談】小学生・中学生・妊婦も服用可能
カロナールは他の鎮痛剤に比べて副作用のリスクが比較的低く、胃への負担が少ない特徴があります。
そのため、小学生・中学生・妊婦の方も服用可能とされています。
ただし、年齢や体重に応じた適切な用量を守る必要があるため、医師や薬剤師に相談してから服用するようにしましょう。
カロナールが生理痛に効かない場合の対処方法
カロナールが生理痛に効かない場合は、次の方法を試してみましょう。
- 痛みがひどくなる前に服用する
- 冷えやストレスを緩和する
- 飲み合わせに問題がないか確認する
- 疾患の可能性がある場合は早期に受診する
痛みが重くなる前に服用する
カロナールは、比較的穏やかな鎮痛作用を持つ薬です。
そのため、生理痛がピークに達したあとに服用しても、十分な効果が得られないことがあります。
特に、強い痛みや炎症が出ているタイミングでは、アセトアミノフェンの効果では痛みを十分に抑えきれないことも少なくありません。
そのため、「痛くなってから飲む」のではなく、痛みの兆候を感じた段階での早めの服用が重要です。
生理開始の直前や初期症状(腰の重さ・軽い腹部の違和感など)が現れたら、我慢せずに服用することで、痛みのピークを抑え、日常生活への影響を軽減しやすくなります。
冷えやストレスを緩和する
生理痛は、冷えやストレスによって悪化することがあります。
体を温めることや、リラックスできる時間を作ることで、血行が促進され、痛みの緩和につながるでしょう。
冷えやストレスの主な緩和方法は、次のとおりです。
- 腹巻きやカイロを使用する
- 温かい飲み物を摂る
- 入浴する
- 軽い運動をする
ストレスを軽減し、心身ともにリラックスできる環境を整えましょう。
飲み合わせに問題がないか確認する
カロナール(アセトアミノフェン)は、他の薬剤や食品と併用することで、効果が弱まったり、副作用のリスクが高まることがあります。
特に注意したいのは、総合感冒薬や他の鎮痛剤との併用です。
これらの市販薬にもアセトアミノフェンが含まれている場合があり、知らずに過剰摂取となるリスクがあります。
また、炭水化物(ごはん・パンなど)と一緒に服用すると、薬の吸収が遅れることがあります。
食後すぐよりも、軽めの空腹時や食間に服用する方が、効果を感じやすいこともあります。
さらに、アルコールはアセトアミノフェンの代謝を担う肝臓に負担をかけるため、服用中は控えることが望ましいです。
服用中に不安な点がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談して、飲み合わせについて確認しましょう。
疾患の可能性がある場合は早期に受診する
あまりにも生理痛がひどい場合や、カロナールなどの鎮痛剤を服用しても改善が見られない場合は、子宮や卵巣に何らかの疾患が隠れている可能性があります。
疾患名 | 概要 |
---|---|
子宮内膜症 | 子宮外に内膜組織が増殖し、強い痛みや不妊の原因になる |
子宮腺筋症 | 子宮筋層内に内膜組織が入り込み、経血量増加や激しい痛みを伴う |
子宮筋腫 | 良性の腫瘍で、大きさや位置によって生理痛や圧迫症状を引き起こす |
骨盤内炎症性疾患(PID) | 性感染症などによる卵管・卵巣の炎症 |
こうした疾患は、自己判断では見つけにくく、放置すると悪化する可能性もあるため、なるべく早めに婦人科を受診することが大切です。
検査によって原因が明確になれば、低用量ピルの処方やホルモン療法など、鎮痛薬以外の治療法で症状が改善されることもあります。
【比較表】カロナール・ロキソニン・イブはかなり違う!
鎮痛剤には、カロナール以外にもロキソニンやイブなどがあります。
主要な解熱鎮痛薬の比較表は、次のとおりです。
項目 | カロナール(アセトアミノフェン) | ロキソニン(ロキソプロフェン) | イブ(イブプロフェン) |
---|---|---|---|
分類 | 非ピリン系解熱鎮痛薬 | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
主な作用 | 鎮痛、解熱(主に中枢神経に作用し、痛みの伝達を抑制) | 鎮痛、解熱、抗炎症(プロスタグランジンの生成を抑制) | 鎮痛、解熱、抗炎症(プロスタグランジンの生成を抑制) |
抗炎症作用 | ほとんどない | 強い | 比較的強い |
効果の強さ | 比較的穏やか | 比較的強い | 比較的強い |
即効性 | 30分〜1時間で効き始め、2時間でピーク | 服用後約30分でピーク(比較的速い) | 服用後比較的速やかに効き始める(商品により異なる) |
主な適応 | 発熱、頭痛、生理痛(軽度〜中等度)、歯痛、関節痛、神経痛など | 強い痛み(頭痛、歯痛、関節痛、打撲など)、炎症を伴う痛み | 強い痛み(頭痛、歯痛、関節痛、捻挫など)、炎症を伴う痛み |
胃への負担 | 少ない | 比較的強い(胃痛・胃潰瘍などのリスクあり) | 比較的強い(ロキソニンよりやや穏やかともされるが注意は必要) |
主な副作用 | 肝機能障害(過量時)、発疹、アレルギー反応など | 胃腸障害(胃痛、吐き気など)、発疹、喘息、まれに肝・腎障害 | 胃腸障害(胃痛、吐き気など)、発疹、喘息、まれに肝・腎障害、眠気 |
使用できる人 | 小児、妊婦(医師の判断)、授乳婦、胃の弱い人など | 小児(原則不可)、妊婦(特に妊娠後期は禁忌)、授乳婦は注意が必要 | 小児(用量により可)、妊婦(後期は禁忌)、授乳婦、腎機能低下の方は注意 |
痛みの強さ、疾患の有無による使い分けの参考にしてみてください。
カロナール・ロキソニン・イブを使い分けるポイント
それぞれの医薬品を使い分ける際のポイントは、次のとおりです。
- 炎症を伴う強い痛みにはロキソニン
- 胃腸が弱い場合はカロナール
- ロキソニンが効かない場合はイブをお試し
痛みの程度や胃腸への優しさにより、賢く使い分けましょう。
炎症を伴う強い痛みにはロキソニン
ロキソニンはプロスタグランジンの生成を抑制し、鎮痛、解熱、抗炎症作用を発揮します。
生理痛の中でも、炎症を伴う強い痛みや、ズキズキとした痛みに特に効果的です。
他の鎮痛剤で効果を感じにくい場合や、痛みがひどい場合に向いています。
ただし胃への負担が比較的強いため、空腹時を避けて服用するなどの注意が必要です。
胃腸が弱い場合はカロナール
カロナールは、胃の粘膜保護作用を持つプロスタグランジンの生成を阻害しないため、胃への負担が少ない点が特徴です。
胃腸が弱い方、胃の調子が悪くなりやすい方には、他の鎮痛剤と比べて安心して服用できます。
ただし、持病がある場合や長期服用時は、医師や薬剤師に相談しましょう。
ロキソニンが効かない場合はイブをお試し
効き目の強さは、強い順番にロキソニン、イブ、カロナールとされています。
とはいえ、人によってはロキソニンよりイブが効く場合もあるほか、薬剤によって濃度が異なり、一概に言えなくなってきています。
そのため、ロキソニンが効かない場合はイブを試してみて、それでも効果がない場合はカロナールを服用してみましょう。
体質との相性もあるほか、あまりにひどい痛みの場合は疾患が隠れていることもあるため、早めに医療機関を受診してください。
カロナールからロキソニンやイブに切り替えるポイント
カロナールからロキソニンやイブに切り替える場合、次のポイントに注意しましょう。
- 服用は4時間以上間隔を空ける
- 自己判断での併用はおすすめできない
同じ鎮痛薬を服用する場合だけでなく、薬を切り替える場合も必ず4時間以上の間隔を空けてください。
また、自己判断で併用をせず、必ず医師の指示を仰いで服用するよう心がけましょう。
3つとも効果が得られなかったらボルタレンを検討する
ロキソニン、イブ、カロナールを試しても効果が感じられない場合には、より強力な鎮痛薬である「ボルタレン(ジクロフェナク)」の使用を検討しましょう。
ボルタレンはプロスタグランジンの生成をさらに強く抑える作用があり、激しい痛みや、他の薬で十分な効果が得られない場合に処方されることがあります。
坐剤タイプもあり、痛みの発生源に近い部位からの吸収により、即効性が期待できます。
ただし、その分副作用にも注意が必要です。
特に胃腸への負担や腎臓への影響が出ることがあるため、使用する際は必ず医師の指示に従い、自己判断での服用は避けましょう。

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カロナールは軽度の生理痛に効果的!無理せず薬に頼ろう
本記事では、生理痛の緩和に用いられるカロナールについて解説しました。
カロナールはアセトアミノフェンを有効成分としており、軽度の生理痛に効果的です。
胃への負担が少なく眠くなりにくいほか、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層が服用可能です。
正しい服用方法を守り、他の鎮痛剤との違いを理解して、自身の症状に合った薬を選択しましょう。
この記事の参考サイト
医療用医薬品 : カロナール:kegg
医療用医薬品 : ロキソニン:kegg
医療用医薬品 : ボルタレン:kegg
医療用医薬品 : イブプロフェン:kegg
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