近年性の多様化が進み、LGBTQへのさらなる理解が求められています。
日本においてゲイはまだ偏見の目を向けられることも少なくありません。
しかし世の中には、日本では考えられないほどゲイを歓迎してくれる国があります。
一方で、異常者として極刑を課す国もあります。
今回は、アジアの国々でゲイがどう思われているかを解説します。
アジア以外の国についてはこちらから。
ゲイに寛容なアジアの国
まずは、ゲイに寛容な国を4ヵ国ご紹介。
旅行や移住を考えているゲイの皆様は、こちらの国を選びましょう。
タイ|世界一ジェンダーに寛容
ゲイのイメージが強いタイですが、実は人数自体はそれほど多くありません。
同性婚が認められたのも2025年と、つい最近です。
それでも尚ゲイのイメージが強い理由は、当国が世界一ジェンダーに寛容であるためです。
タイでは、約7割の人が、性的指向や性自認のカミングアウトを快く思っています。
タイにゲイが多いと感じる理由は、“純粋な人数”ではなく、“カミングアウトしている人数”が影響していると考えられます。
普段ゲイであることを隠している方は、タイに行けば自分らしさを解放できるでしょう。
| 同性愛 | 合法 |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
2025年に同性婚合法化 →同年中に25,814組が同性婚 |
台湾|アジアで初めて同性婚を合法化
2019年にアジアで初めて同性婚を認めた国。
2022年には、台湾国外のパートナーとも結婚できるようになりました。
2023年時点では、10,135組の同性婚(ゲイは内3割)が成立しています。
また、首都・台北の「西門町」は、台湾随一のゲイタウンとしても知られています。
駅近くにはレインボーカラーの道路があり、ゲイを始めとしたLGBTQを歓迎している様子が見て取れます。
| 同性愛 | 合法 |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
2019年に同性婚合法化 →2023年には10,135組が同性婚 (内約70%がレズビアン) |
ネパール|アジアで2番目に同性婚を合法化
アジアで2番目に同性婚を認めた国。
2023年6月末、最高裁判所が「同性婚の法制化が実現するまで暫定的に婚姻登録を認める」という裁決を下しました。
そして、同年11月にやっと1組のゲイカップルの婚姻届が受理され、正式に同性婚が認められました。
ネパールの同性婚合法化には、当国で初めてゲイであることを公表した国会議員スニル・バブ・パント氏の活躍が影響しています。
彼は20年以上にわたって、LGBTQの権利を勝ち取るために戦い続けてきました。
| 同性愛 | 合法 |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
2023年に同性婚合法化 組数は不明 |
ベトナム|ゲイが病気ではないと認めた
かつてベトナムでは「同性愛=精神疾患」という誤認が広く浸透しており、LGBTQの人々に対する人権侵害が問題視されていました。
原因は政府にあります。
1990年、WHOが同性愛を精神疾患リストから削除し、各国もこれに倣いました。
しかしベトナムでは元々同性愛を公式に精神疾患リストに載せていなかったため、特段削除対応を行いませんでした。
そのため「同性愛=精神疾患」という誤解が無くならなかったと考えられます。
しかし2022年、ベトナム保健省は「同性愛は病気ではない。治すことはできないし治す必要もない。」と公式に発表。
今、LGBTQへの対応が良い方向へと変わってきています。
| 同性愛 | 合法 |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
ゲイに厳しいアジアの国
次に、ゲイに厳しい国を7ヵ国ご紹介。
中には命に係わる場合もありますので、旅行や移住を考えているゲイの皆様は、バレないよう重々お気を付けください。
韓国|理解を深めている真っ最中
韓国軍刑法には、ゲイの性行為(厳密には肛門を用いた性行為)を禁ずる項目「第92条の6」があります。
違反した場合は最長2年の懲役刑です。
また、軍への入隊テストで同性愛者とみなされた者は施設収容または除隊対象となります。
韓国は徴兵制度があるため、ほぼ全ての男性が人生で一度はゲイかを確認されることに。
とてもゲイに優しい国とは言えません。
しかし今、現実的で合理的な価値観が強く、新しいことの受け入れにも前向きな若者たちの影響で、LGBTQへの理解が深まってきています。
| 同性愛 | 一般市民は違法ではない 軍隊内での性行為は軍刑法違反 |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない しかし2024年に事実婚の同性配偶者を健康保険の扶養対象にできるようになった |
中国|ゲイ向けマッチングアプリ削除
中国で人気のゲイ向けマッチングアプリ「Blued」「Finka」が、2025年11月にアップルストアから姿を消しました。
2023年にも別のゲイ向けマッチングアプリが姿を消しています。
削除は、中国政府からの要請によるもの。
このことから、LGBTQに対する中国政府の風当たりの強さが伺えます。
また、同性愛をテーマにした過激な映画は基本中国国内で上映できません。
最近は、ゲイ男性の顔をAIで女性に変えて上映するパターンも出てきました。
| 同性愛 | 違法ではない |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
インド|ゲイの王子自ら活動中
2018年まで、インドで同性愛は違法とされていました。
LGBTQへの風当たりがまだ強かった2005年、マンヴェンドラ・シン・ゴーヒル王子がゲイをカミングアウト。
両親は彼を治すため病院や宗教指導者にすがり、国民は王族の称号剥奪を求める運動を起こしました。
しかし王子は、HIV感染症(エイズ)予防活動やトーク番組への出演を通して、徐々に世間から認められるようになりました。
2018年には宮殿をLGBTQ支援施設に改装し、さらなる支援に努めています。
| 同性愛 | 違法ではない |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない 最高裁判所にて検討されたが、議会に決定権があるとして2023年10月に棄却 |
マレーシア|イスラム教でゲイは禁忌
マレーシアの国教はイスラム教です。
イスラム教の聖典「クルアーン」の中には、ゲイ同士の性行為を罰する物語があります。
大まかなストーリーは以下の通りです。
ソドムは非常に治安が悪く、ゲイによる性行為も至る所で行われていました。
この状況を打破すべく、神はこの地に預言者ロトを遣わしました。
ロトはソドムの民に、犯罪行為や淫らな行為を止めるよう呼びかけました。
男性同士の性行為など、これまで誰もしなかった行為であると伝えました。
しかしソドムの民は彼の声に言葉を貸さず、逆に街からの追放も仄めかしました。
怒りに震えたロトは、ここから救出してくれと神に呼びかけました。
願いを聞き届けた3人の神の使徒(男性の天使)がロトの家に向かいましたが、使徒のあまりの美しさに、ソドムの民が殺到。
ロトは「女性と結婚しなさい」「私の客に無礼な行為を働くな」と民を説得しましたが、民は相変わらずそれを聞き入れませんでした。
使徒はロトに、夜が明ける前にこの街から逃げるよう伝えました。
その後使徒はソドムの街に石の雨を降らし、街を滅亡させました。
この聖典によって、ゲイ同士の性行為は罪という思想が深く根付いています。
ゲイパーティーの襲撃や逮捕、同性愛を肯定したアーティストの公演中止、同性愛を連想させる商品の販売禁止など、その対応は徹底的。
最高20年の禁錮刑に至ることもあります。
また、ソドムの街から名を取り、不自然な性行為(フェラや肛門性交)は「ソドミー」と呼ばれています。
| 同性愛 | 違法 →鞭打ち刑・懲役など |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
アラブ首長国連邦|同性愛は厳しく禁止
アラブ首長国連邦もマレーシア同様、イスラム教徒が圧倒的多数。
ゲイを始めとした同性愛は強く取り締まられています。
ゲイ同士の性行為は、最悪死刑に処される可能性があるほど重い罪です。
中東の最大都市ドバイは、旅行者数世界第4位の人気観光スポット。
世界でも安全な都市として有名です。
しかしゲイに限っては命に係わるため、訪れる際は十分ご注意ください。
| 同性愛 | 違法 →死刑・鞭打ち刑・懲役など |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
インドネシア|性交渉したゲイは鞭打ち刑
インドネシアは、世界で最もイスラム教徒(ムスリム)が多い国。
マレーシア・アラブ首長国連邦と比べれば刑は軽いものの、同性愛に対する偏見は強いです。
34州延べ1520名を対象に「好ましくない集団は?」という質問をした際は、異教徒などを差し置いてLGBTQが一位となっていました。
2025年には、アチェ州にて同意のもと性行為を行ったゲイカップルに有罪判決が下され、公の場で76回の鞭打ち刑に処されました。
これは、行政がゲイへの差別と残虐行為を容認していることを示しています。
| 同性愛 | 違法 →懲役・罰金など |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
パキスタン|性交渉したゲイは終身刑
パキスタン刑法第377条にて、不自然な性行為(フェラや肛門性交)は犯罪とされています。
ゲイ同士の性行為は、軽くても罰金や懲役2年、重いと死刑や終身刑が下されます。
2024年にパキスタン初のゲイクラブを作ろうとした男性は、精神科病院に収容されてしまいました。
彼に対しとある政治家は、もしクラブの開業許可が下りたら店に火を付けると脅しました。
パキスタンにおいて、ゲイがどれほど異常な存在として扱われているのかを物語っています。
| 同性愛 | 違法 →死刑・終身刑・懲役・罰金など |
|---|---|
| 同性婚 パートナーシップ |
どちらも認められていない |
LGBTQの人口や訴えは年々増えている
世界的に見て、性の多様化やLGBTQへの理解は年々強まっています。
世界を代表する市場調査会社「Ipsos(イプソス)」の調査によると、Z世代(1996~2012年生まれ)のLGBTQの人数は、30年前と比べて倍以上に増えているそうです。
しかし全ての国がそうではありません。
日本のように偏見の目を向けられるだけならまだ良い方で、国によっては最悪死刑です。
世界の中でも、アフリカ・南アジア・西アジアの3地域は特にLGBTQへの理解が進んでいません。
旅行を予定されているゲイの皆様におかれましては、命を守るためにも、それらの国への訪問は控えることをおすすめします。
この記事の参考サイト
日本のLGBT+の割合は約5%、世界26か国の最新LGBT+調査レポート:Ipsos
台湾で同性婚が1万組を突破 女性同士の婚姻が7割:Gender
ネパールで同性婚登録が受理されました。アジアで2つ目の同性婚ができる国となります!:IRIS
ベトナムがグローバルなLGBTの健康基準を採用:HUMAN RIGHTS WATCH
大韓民国におけるLGBTの権利:ウィキペディア
インドのゲイ王子 宮殿をLGBTQ支援施設に改装:Newsweek
マンヴェンドラ・シン・ゴーヒル:ウィキペディア
アップル、中国当局の要請で人気ゲイ向けマッチングアプリを削除:WIRED
預言者ロトの物語:Islam Land
LGBTへの迫害状況一覧:難民研究フォーラム
インドネシア:ゲイ男性にむち打ち刑 許されざる残虐行為:AMNESTY INTERNATIONAL
インドネシアのLGBTQ+を取り巻く状況:インドネシア総合研究所L
パキスタン初のゲイクラブを作ろうとした男性、精神科病院に収容される:BUSINESS INSIDER
