女性のライフスタイル

頭痛持ちはピル(経口避妊薬)を飲めない?危険性と代替案を解説

頭痛持ちはピル(経口避妊薬)を飲めない?危険性と代替案を解説

ピルは避妊や女性特有の悩みの治療で使用される薬です。

女性にとっていろいろな効果があるピルですが、頭痛持ちの方が服用すると脳梗塞などの「血栓症」のリスクが高まります。

そのため、頭痛持ちの方はピルの服用ができません。

この記事では、頭痛持ちの方がピルを服用するリスクとピルの代用薬について説明します。

ピルの服用を検討している方は、参考にしてください。

ピル(経口避妊薬)とはどんな薬?

ピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を配合した飲み薬です。

排卵を抑える効果があるのでコンドームよりも高い避妊効果があり、「経口避妊薬」として知られています。

一般的に経口避妊薬として使用されるピルですが、避妊以外にも「副効果」といって以下のような症状を改善する治療薬としても使用されています。

  • 生理不順
  • 生理痛
  • PMS
  • 肌荒れ
  • 子宮内膜症・排卵痛

また、ピルは妊孕性にも影響がないので妊娠を望むときピルの服用をやめれば、排卵が回復して妊娠も望めます。

そのため「将来的には子供がほしい」と考えている方も、安心して服用してください。

月経周期と頭痛の関係性

月経前に頭痛が起こる原因には、エストロゲン(卵胞ホルモン)が関係していると考えられています。

卵胞ホルモンの分泌量は月経周期に伴って変動し、月経前や排卵日には分泌が急激に低下します。この急激な変動により、頭痛が起こるのです。

また、月経前の頭痛は通常の頭痛に比べて痛みが強く、市販の鎮痛剤が効かないこともあるほどです。

頭痛持ちがピルを飲むことに危険性はあるの?

片頭痛持ちの方がエストロゲンの含まれているピルを服用すると、「脳梗塞のリスクが約7~10倍になる」というデータが日本神経学会・日本頭痛学会から発表されています。

そのため、片頭痛持ちの方はピルの服用ができません。

片頭痛持ちの方へのピルの処方を防ぐために、ピルの服用目的で受診する際には必ず問診で「片頭痛の有無」が問われます。

また、片頭痛には「前兆のある頭痛」と「前兆のない頭痛」があり、前兆の有無によってピルを飲むリスクも変わってくるのです。

ここでは、「前兆のある頭痛」の症状や、ピルを飲むリスクについて説明します。

前兆のある片頭痛がある場合は血栓症の危険がある

前兆のある片頭痛とは、頭痛が始まる前に目の前がキラキラしたり、視野の一部が見えにくくなったりする症状が起こる片頭痛のことです。

その他にも目の前にキラキラした点が現れ、ギザギザした波が広がっていく「閃輝暗点(せんきあんてん)」という視覚現象が起こることも。

頭痛が起こる前にこれらの症状がある方は「前兆のある片頭痛」持ちなので、ピルを服用すると血栓症のリスクが高まってしまいます。

血栓症は「脳梗塞・心筋梗塞・肺塞栓」が代表的で、命に係わることもある恐ろしい病気です。

前兆のある片頭痛持ちの方がエストロゲンの含まれているピルの服用をすると、これらの血栓症のリスクが10倍になると言われています。

ピルの飲み始めは頭痛などの副作用がある

ピルには女性特有の悩みを改善する効果もありますが、副作用もあります。

主な副作用は、「吐き気・むかつき・乳房のはり・頭痛・下腹部痛・下痢・むくみ・体重の増加」です。

とくにピルの飲み始めには、「吐き気・頭痛・むくみ・乳房のはり」などの妊娠初期症状のような症状が起こることがあります。

ピルを飲んだときに副作用で起こる頭痛は、突然ズキズキと痛み始めるのが特徴です。

ピルの副作用による片頭痛は、前兆のある片頭痛とは症状が違うので安心してください。

先ほど説明したような、前兆のある片頭痛が起こるようになったときには、速やかに医療機関に相談しましょう。

また、頭痛の前兆がなくても痛みがひどい方や鎮痛剤が効かない方も、医療機関を受診してください。

ピル(経口避妊薬)以外の薬も検討してみよう

片頭痛持ちの方はピルの服用ができないので、ピル以外の薬の服用を検討してみましょう。

ピルの代用品として、子宮に装着して子宮内避妊をする「ミレーナ」や、月経を止めるホルモン療法などがありますが、ここではピルの代用薬の「ディナゲスト」と頭痛薬の「アマージ」を紹介します。

ディナゲスト

「ディナゲスト」は黄体ホルモン剤で、ピルと同じように排卵を抑える効果があります。

ディナゲストには子宮内膜症を抑制して縮小させる効果があるので、「子宮内膜症・子宮筋腫・生理痛」の治療薬として使われることが多いようです。

ディナゲストがピルと違うのは、「避妊薬ではないので避妊が必要」という点です。

ディナゲストには排卵を抑える効果がありますが、服用中に妊娠した例もあるので妊娠を望まない方は必ず避妊してください。

気になる副作用ですが、ディナゲストの副作用で一番多いのは「不正出血」です。

ディナゲストは子宮内膜症を抑制して縮小させる効果があるため、薬の服用中は子宮内膜が薄くなってしまいます。

そのため、普段より不正出血しやすくなってしまうのです。

とくにディナゲストの飲み始めには月経時以上の出血をすることがありますが、服用を続けるうちに少量になっていくので安心してください。

アマージ

アマージは片頭痛が起こったときに服用する薬です。予防薬ではないので、頭痛が起こる前には飲まないように注意してください。

アマージには拡張した血管を収縮させて正常に戻し、血管周囲の炎症を抑えて頭痛を和らげる効果があります。

鎮痛剤のような速効性はありませんが、効果の持続時間が長いので繰り返す片頭痛には効果的です。

また、アマージはピルと併用できるので、ピルの副作用による頭痛に悩んでいる方は医療機関に相談して、アマージを処方してもらいましょう。

片頭痛がある方は必ず医師に相談しましょう!

片頭痛のある方はピルを服用できないこと、ピルを服用するリスクについて紹介しました。

片頭痛がある方がピルを服用すると血栓症になるリスクがあるので、問診のときに必ず片頭痛持ちだと記入してください。

ピルと同じ効果を持つ代用薬もあるので、生理痛や子宮内膜症などの女性特有の症状で悩んでいる方は、まずは医療機関に相談しましょう。

自分の体質に合った薬を見つけて、正しい治療を行いましょう!