女性には毎月やってくる生理。しかし、月経前症候群(PMS)や生理中の体調の変化で悩む人は少なくないはずです。
いまや、女性の約9割が悩んでいると言われるPMS。
はっきりとした原因は分かっていませんが、女性ホルモンが関わっていると考えられています。
女性ホルモンの変動が起こると、イライラしたり不安や、ゆううつな気分になることがあります。
そこで今回は、PMSによる精神症状に効果的だと考えられているデパスがどのように効果があるのか、副作用の有無や入手方法もあわせて詳しく解説していきます。
デパスの効果・効能を確認しよう!
そもそも、デパスとはどのような薬なのでしょうか。
どのような疾患に使われ、どのような副作用があるのか確認してみましょう。
デパスが処方される目的!
デパスは「エチゾラム」という成分を含みます。
ベンゾジアゼピン受容体に作用することで、不安や緊張を和らげます。
その他にも、筋肉の緊張を和らげる作用があります。
本来は、
- 神経症、うつ病、心身症(高血圧症、胃・十二指腸潰瘍)における不安・緊張・睡眠障害
- 統合失調症における睡眠障害
- 頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつ・筋緊張
に使用されます。
副作用はあるのか?
デパスには注意しなくてはならない副作用がいくつかあります。
内服する前に、必ず確認しておきましょう。
おもな副作用として報告されているのは、眠気、ふらつき、倦怠感、脱力感などです。
注意力や集中力、反射運動能力などが低下するので、デパスを内服しているあいだは車を運転することはできません。
また、長い期間内服することで薬物依存を起こしてしまうことがあるので、漫然と長期間内服することは危険です。
PMSの精神症状が辛いときだけ飲むようにするなど、継続的に飲まないように工夫することが重要です。
他にも、重大な副作用として、「呼吸抑制」「悪性症候群」「横紋筋融解症」「間質性肺炎」「肝機能障害・黄疸」などがあります。
いずれも頻度は不明ですが、症状が現れた場合には速やかに治療が必要になります。
必要以上に恐れることはありませんが、薬には必ず副作用が付きものであることを十分に理解した上で内服するようにしてください。
使用前に持病との相性を確認!
デパスは「急性閉塞隅角緑内障」、「重症筋無力症」の人は内服することができません。
急性閉塞隅角緑内障の人は、デパスを飲むことによって、副交感神経が抑制されるため動向を閉じる働きを持つ毛様体筋を弛緩させてしまうので、隅角と呼ばれる部分が狭くなってしまい、眼圧が上がってしまいます。
重症筋無力症の人は、デパスの筋弛緩作用により症状を悪化させてしまう危険性があるため、飲むことができません。
他にも、心機能に障害がある人や肝機能、腎機能に障害がある人も飲めない場合がありますので、治療中の疾患がある人や薬などは飲んでいないけど経過観察中の疾患がある人は必ず医師に申告するようにしましょう。
妊婦には使用禁止?
妊娠中、安全に使用することのできる薬はあまりありません。
デパスも「妊婦(3ヶ月以内)又は妊娠している可能性のある女性は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに投与できる」と決められています。
動物実験において、催奇形性が報告されていることや、妊娠中にデパスと同じ種類の薬を使用した患者の中に、奇形を持った子を出産した例が一切飲まなかった人たちと比べて多くなるとの報告があるためです。
また、妊娠後期の女性も同様に、有益性が危険性よりも上回ると判断される場合にのみ投与できる。とされています。
こちらは、新生児に哺乳困難や筋緊張低下、傾眠などさまざまな症状を起こすことが報告されているためです。
妊娠の可能性がある女性は、必ず医師や薬剤師に申告するようにしましょう。
他に薬を服用している方【要確認】
デパスを内服するときには、ほかの薬との飲み合わせもしっかり確認する必要があります。
飲み合わせが悪い場合、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。
デパスとの飲み合わせの悪い薬を説明します。
■中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸系)
デパスと一緒に内服することで、両方の薬の作用が強くなり、効きすぎてしまう恐れがあります。
効きすぎた場合、血圧低下や運動失調、意識障害などを起こす可能性があり注意が必要です。
■MAO阻害剤
デパスと一緒に内服することでデパスの効いている時間が長くなり、効きすぎてしまう恐れがあります。
効きすぎた場合は、過鎮静、昏睡、痙攣発作、興奮などを起こす可能性があり注意が必要です。
■フルボキサミンマレイン酸塩
こちらも同様に、デパスの効いている時間が長くなり、効きすぎてしまう恐れがあります。
血中濃度が上昇してしまうため、デパスの量を減らしてもらうなどの対応が必要です。
いずれも、病気の治療には必要な大切な薬です。
ここに記載されているから、飲むのをやめようと自己判断するのではなく、必ず医師に相談してください。
飲み物との相性は?
デパスを内服しているあいだは、アルコールの摂取に注意しなければなりません。
PMSがひどく、どうしてもデパスを内服しなければならない場合は、その数日間はアルコールを摂取しないようにしましょう。
デパスの効き目が強くなってしまうため大変危険です。
PMS治療にデパスは効果的?
いろいろと注意しなければならない点が多いデパスですが、PMSに対して効果はあるのでしょうか。
デパスの特性とともに見てみましょう。
抗不安薬として処方される!
デパスは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる抗不安薬に分類される薬です。
不安を和らげる効果があるため、もともとはうつ病の治療などに開発された薬です。
うつ病になると、脳内のセロトニンと呼ばれる物質が不足している状態になりますが、このセロトニンが細胞内に再吸収されるのを阻害することで、セロトニンの作用を増強します。
そのような作用のある薬ですので、PMSの精神症状に対しても効果があることが分かり、使用されるようなりました。
デパスには抗不安作用のほかに、「抗うつ作用」、肩こりなど筋肉の緊張をほぐす「筋弛緩作用」、不眠症の人などに使われる「催眠作用」、けいれんを抑える「抗けいれん作用」があります。
さまざまな作用を持つ薬のため、内服するときにはほかの薬との飲み合わせなど、十分気をつける必要があるのです。
医師に相談してから精神安定剤としてデパスを服用しよう!
PMSの辛いイライラや精神的に不安定な状態を和らげてくれるデパス。
抗不安薬と聞くと、「あんまり飲みたくないな…」と不安に思ったりする方もいるかもしれません。
しかし、しっかりと治療を受け、症状を改善することで、毎日の生活が楽しくなったり、職場の人や友人との関係が悪くならずに済むこともあります。
生理前に不安な気持ちや、ゆううつな気持ちになることがあれば、専門家である医師に相談してみましょう。
診察を受け、PMSと診断されたら一人ひとりにあった治療法を提案してもらえます。
そのなかで、デパスが効果的であると判断されたら、医師によって処方してもらうことができます。
自分に合った治療法で、PMSの期間を少しでも快適に過ごしましょう!